皮脂欠乏症
皮膚の表面にある脂(皮脂)の量が減少し、それによって皮膚の保水力が減少し、皮膚がカサカサに乾燥する状態です(年をとるとなりやすい、天然保湿因子や角質細胞間脂質や肌の水分量の減少による)。当初は体の一部が乾燥するのですが、その範囲が徐々に拡大して、痒みも伴うようになります。更に進むと皮膚がボロボロと剥がれるようになり、ひび割れが出来、赤みを帯びて痒みのみならず、痛みも伴うようになってきます。
痒みが強いと眠れなくなり、それが精神的負担となってますます症状が悪化します。
まず保湿剤とかゆみ止めを使用して、その後に下記のようなスキンケアを心がけましょう。
- 部屋が乾燥しないように加湿器を使用する。
- 紫外線からダメージを受けないようにする。
- 下着などは木綿などの刺激の低いものにする。
- 長風呂は避け、低刺激性の石鹸を使用する。
伝染性軟属腫(みずいぼ)
伝染性軟属腫ウイルス(ポックスウイルス)による接触性感染(肌と肌が触れ合うことで感染する)で発症します。よってプールに入っても水を介して感染するわけではないので、泳ぐだけなら感染しませんが、ビート板やタオルなどを介して感染することがあるので注意が必要です。症状としては、表面がツルツルした径2~5mm位のイボ状のもの(頂点がくぼんでいるのが特徴)が、手掌や足底以外の部位に多発します。ほっておいても自然治癒すると言われていますが、見た目の悪さや他人に感染する危険があるため治療を希望することが多いようです。治療としてはピンセットで取る方法が確実です。しかし痛みがあるので、多発している場合は、数回に分けて取る場合もあります。ピンセットでつまむと白い塊が出てきますが、これは伝染性軟属腫ウイルスの塊です。
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白癬(水虫)
白癬菌(真菌(カビ)の一種である皮膚糸状菌)が、皮膚に感染して起こる病気です。 最も頻度の高い足白癬の場合、バスマットやスリッパから感染することが多いようですが、一般的には24時間以内に洗えば感染しないと言われています(抵抗力が下がっている人や、足を洗わず長時間靴を履いている人は感染しやすい)。白癬菌にかかった犬や猫からも感染することがあるので注意が必要です。また最近では柔道などのスポーツで肌が触れ合って感染するタイプもあります。白癬菌の感染する場所によって、足白癬(水虫)、股部白癬(いんきん)、体部白癬(たむし)、爪白癬(爪水虫)、頭部白癬(しらくも)、ケルズス禿瘡(頭部に生じた深在性白癬)などがあります。
症状としては、足白癬の場合、足の指の間がふやけて白くなったり、ジュクジュクしたりします。足の裏に小さな水泡が出来ることもあります。しかし見た目だけでは他の皮膚疾患(湿疹や皮膚炎など)と区別出来ないので、必ず顕微鏡検査が必要です。股部白癬(いんきん)、体部白癬(たむし)の場合は環状紅斑が特徴的です(丸い形をした紅斑で、辺縁は炎症が強く小水疱や丘疹が認められるが、中心部は他の正常皮膚と同じ色です)が、診断するには、やはり顕微鏡検査が必要です。爪白癬は爪が白く濁ったり黄色くなったり、また厚く肥厚するのが特徴です。顕微鏡検査で診断します。
白癬の検査としては上記のごとくハサミ、メスなどを用いて、病変部の鱗屑(りんせつ)(皮膚表面からはがれかけている角質)、小水疱、丘疹、爪、毛などを採取し、スライドグラス上で、水酸化カリウム溶液を滴下して顕微鏡で観察します(顕微鏡検査)。
治療としては、抗真菌薬の外用が基本です。しかし爪白癬や角質増殖型の足白癬などには内服治療も行われます。最近爪白癬も外用薬が発売され、内服薬と同程度の効果をあげるようになりました。
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尋常性疣贅(イボ)
ヒトパピローマウイルスが皮膚の小さな傷から侵入して皮膚細胞に感染し光沢のある皮膚色で1mm大の丘状に隆起した発疹ができ、徐々に大きくなります。表面は角化してザラザラしています。足の裏では体重のため魚の目様に固くなる場合があります。このようなタイプのイボは外傷を受けやすい露出部(特に手指、足底、膝、顔面など)に出現することが多いようです。
診断は見た目で分かる場合が多いようですが、確実に診断するには、イボの一部を採って組織学的に診断します。
治療は、一般的に液体窒素でイボを凍結させる方法を用います。これでだめなら電気焼灼または切除を行います。その他漢方のヨクイニンを内服する方法もありますが、効果が出ない場合が多いようです。
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帯状疱疹
体の左右どちらか(体の両側にはできず、片側に出来る場合が大半)にピリピリした痛みが先行し、その後赤い斑点と水ぶくれがおび状に現れます。片方の胸部の肋骨に沿って発赤と小水疱が並ぶのが典型例です。
子供の頃、水ぼうそう(水痘)にかかった時の水痘・帯状疱疹ウイルスが、治癒した後も神経節に潜んでいて、加齢・過労・ストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが再活性化し、神経を伝って皮膚に到達し、帯状疱疹として発症します。ウイルスの再活性化が原因であって、他人から感染して発症するわけではありませんが、水痘にかかったことのない子供や免疫力の落ちた妊婦には、接触感染で水痘として感染することがあります。
発症部位によって次のような合併症があります。
- 三叉神経第1枝領域(前頭部や前額部)に発症した場合:ウイルス性髄膜炎の合併があります
- 鼻背や尾翼に発症した場合:三叉神経の第1枝(眼神経)の枝である鼻毛様体神経が侵されて目の合併症(ブドウ膜炎や角膜炎)をきたすことがあります
- 耳介やその周囲に発生した場合:聴神経の障害によりめまいと耳鳴りが、顔面神経の障害により顔面神経麻痺が発生することがあります
- 臀部下方や外陰部に発生する場合:仙髄に影響が及び膀胱直腸障害(尿閉・便秘)が発生することがあります
痛みには2つあり、急性期の皮膚や神経の炎症に伴う痛みと水泡や発赤などの皮疹が消失した後も神経障害が残って痛みが継続する帯状疱疹後神経痛があります。帯状疱疹後神経痛は、長期間続く事があるので根気よく治療を続ける必要があります。早期に治療を行い炎症症状を抑えることで、合併症や帯状疱疹後神経痛のリスクを減らす事ができます(早期治療が必要)。治療法は内服薬(抗ウイルス薬)、外用薬、神経ブロック等(帯状疱疹後神経痛の時に行う)があります。
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尋常性ざ瘡(ニキビ)
毛穴にある脂腺が角質で詰まり(なぜ詰まるかは原因不明)、皮下に脂肪がたまって、そこに細菌感染を起こす病気であり、思春期に始まることが多いようです。毛の周りの皮下に脂肪がたまって白く見え、その周囲を発赤が取り巻く像を呈します。
治療法は塗り薬を使用します。最近ではアバタレン(商品名ディフェリン)や、過酸化ベンゾイル単剤(商品名ベピオ)や過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンの合剤(商品名デュアック)などが使用されます。いずれも皮膚の乾燥・皮膚はく奪、接触性皮膚炎(痒み、かぶれ)、紅斑、かゆみなどの副作用が出る場合があります。
その他ほとんど副作用がなくニキビに効果のあるサリチル酸マクロゴールによるケミカルピーリングなどの治療もあります(自費診療ですが当院で施行出来ますので、ご相談下さい)
アバタレン:角質の生成を抑制することで、異常角化による毛穴のつまりを抑制する
過酸化ベンゾイル:角質の剥離や酸化による抗菌作用と活性酸素を抑制する効果を持つ
クリンダマイシン(抗生剤):アクネ菌の増殖抑制や遊離脂肪酸を減少させる効果を持つ
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