前立腺は、元々精液の一部を作る臓器であり、下図のごとく膀胱のすぐ下で、膀胱から続く尿道を取り巻くように存在します。大きく内線と外線に分かれます。前立腺肥大症は尿道に接する内線から出る良性腫瘍で、軽度の腫大でも尿道を圧迫しやすい位置にあります。一方前立腺癌は主に外線から出現する悪性腫瘍です。
(上記図表は旭化成ファーマ提供)
前立腺は、元々精液の一部を作る臓器であり、下図のごとく膀胱のすぐ下で、膀胱から続く尿道を取り巻くように存在します。大きく内線と外線に分かれます。前立腺肥大症は尿道に接する内線から出る良性腫瘍で、軽度の腫大でも尿道を圧迫しやすい位置にあります。一方前立腺癌は主に外線から出現する悪性腫瘍です。
(上記図表は旭化成ファーマ提供)
50歳以上の男性(女性には前立腺はないので、前立腺肥大症はない)に出現する。
年齢と共に肥大症の割合が増加します。
症状としては、下記のごとく畜尿症状と排尿症状があります。
前立腺の内側が腫大することにより膀胱や尿道を圧迫することで症状が出ます。
(上記図表は旭化成ファーマ提供)
まず国際前立腺症状スコア(IPSS)とQOLスコアを行い症状の強さを見ます。
これは数字(IPSS:0~35点 QOL:0~6点)が大きいほど症状が重いことを意味しています。(皆さんも一度やってみて下さい)
(上記図表は旭化成ファーマ提供)
治療法は下記の3種類がります。症状の強さ、残尿の量、腎臓への影響などを総合して決めます。
薬物療法、低侵襲療法、手術療法などがあります。
前立腺癌は、高齢男性(50歳以上)に多い病気で、進行が比較的ゆっくりで、初期には無症状のことが多いようです。欧米諸国では、非常に多く見られる癌で(アメリカでは、男性癌の罹患数第1位、死亡数第2位)、日本でも非常に増加しており、2020年には、罹患数で男性癌の第1位になると思われます。前立腺癌が増加している理由としては、社会の高齢化、食生活の欧米化、診断法の進歩(腫瘍マーカーであるPSAの普及)が考えらます。
50歳以上の男性(女性には前立腺はないので、前立腺癌はありません)
前立腺癌は前立腺の外側から発生する(前立腺肥大症は前立腺の内側から発生する)、したがってかなり大きくならないと尿道を圧迫しないので、初期は無症状のことが多いようです。
しかし病気が進行すると前立腺肥大症と同じような排尿障害が出現します。尿や精液に血が混ざることもあります。また前立腺癌は骨に転移しやすいので、腰痛や四肢痛がみられるようになります。
前立腺癌の初期は無症状のため、症状は診断の決め手にはなりません。そこでまず採血してPSA(前立腺特異抗原)を測定します。
50歳を超えたら腫瘍マーカーであるPSA検査を受けましょう(市町村で施行する前立腺癌検診もこのPSAを測定します)。
(直腸指診や超音波検査が、診断の助けとなる場合があります)
PSA高値(4以上)の場合は、確定診断として前立腺針生検(針を12か所前後前立腺に刺して組織を採集する検査)を行うことになります。
前立腺針生検で癌が出た場合は、転移の有無の確定のためCT(リンパ節や他臓器への転移を調べる)や骨シンチ(骨への転移を調べる)を行う必要があります。
急に我慢できないような尿意(尿意切迫感)が起こる状態を過活動膀胱(OAB)と言います。
頻尿や尿漏れなどを伴う場合があります。
40歳以上の男女の8人に1人が過活動膀胱の症状を持っていることが最近の調査で分かってきています。
過活動膀胱の頻度は男女とも年齢の増加とともに上昇します。
上記の症状が1つ以上ある人は過活動膀胱の可能性があります。
上記で過活動膀胱の可能性のある方は下記の過活動膀胱症状質問表(OABSS) をやって点数をつけて下さい。
質問内容 | 回答 | 点数 | |
質問1 | 朝起きた時から夜寝るまでに、何回くらい尿をしましたか? | 7回以下 8~14回 15回以上 |
0 1 2 |
質問2 | 夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿するために起きましたか? | 0回 1回 2回 3回以上 |
0 1 2 3 |
質問3 |
急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがありましたか? |
なし 週に1回より少ない 週に1回以上 1日1回くらい 1日2~4回 1日5回以上 |
0 1 2 3 4 5 |
質問4 |
急に尿がしたくなり、我慢できずに尿を漏らすことがありましたか? |
なし 週に1回より少ない 週に1回以上 1日1回くらい 1日2~4回 1日5回以上 |
0 1 2 3 4 5 |
上記の病気を鑑別するために必要な検査
過活動膀胱の頻尿と多尿は治療法が違うので、鑑別が必要です。
多尿は水分摂取量が多いか、または利尿剤の使用などで起きます
排尿日誌(排尿の時間とその時の尿量を1~3日すべて記載したもの)を見れば、過活動膀胱の頻尿であるのか多尿かは、概ね鑑別がつきます
(多尿とは1日の尿量が40ml/kg以上の場合をいう)
前立腺肥大症で過活動膀胱様の症状を合併する男性は、前立腺肥大症の薬と上記の薬を併用する場合があります。
夜尿症は、(1)膀胱容量が小さい膀胱型、(2)夜間尿量の多い夜尿型、(3)膀胱型と夜尿型の両方がある混合型に分類されます。
生まれてすぐの赤ちゃんは毎日おねしょ(夜尿)をしますが、その割合は年とともに減っていきます。2歳児ではその1/2が、3歳児では1/3が、4歳児では1/4のお子さまがおねしょ(夜尿)をしています。5、6歳で約15%、小学校低学年で約10%、小学校高学年で約5%におねしょ(夜尿)みられます。12歳ぐらいになるとその多くは消失しますが、成人になってもおねしょ(夜尿)がみられる場合があります。
夜間尿量は次のように測ります。
下記の数値を参考にお子さんの夜間尿量が多くないか判定して下さい。
学校から帰って、家で尿を我慢させ、我慢できなくなったら尿をさせます。 この量が膀胱容量にあたります。下記の数値を参考にお子さんの膀胱容量が小さくないか判定して下さい。
夜尿症の多くは自然軽快していくことが多く、また夜尿が身体に悪影響を及ぼすものでないことから、とかく放置されることが多い病気です。
しかし、夜尿が学童期まで持続している場合には、夜尿をしていることでお子さまが自信を喪失し(例えば修学旅行で夜に尿を漏らして恥をかくなど)、心理面、社会面、生活面に様々な影響を与えることがあります。このような影響は、ストレスとなって夜尿の消失時期を遅らせる要因ともなるため、年齢や夜尿回数を参考にしながら、積極的に医療機関で治療することをお勧めします。
1~5が代表的疾患です。
膀胱癌は、膀胱内腔に出きる腫瘍で、乳頭状から結節状までさまざまですが、乳頭状の腫瘍が最も多いようです。(右図) 膀胱癌の治療は癌の根の深さ(深達度)、顔つき(細胞学的異型度)などを参考にして決められます。根が浅い場合(Ta~T1)は内視鏡的に癌を削り取る経尿道的膀胱腫瘍切除(TUR-Bt)が行われます。
再発が多いため、再発予防のため、治療後に膀胱内に抗癌剤を注入する場合もあります。
根が深い場合(T2~T3b)は、まず内視鏡的に一部だけとって、癌の性質を調べます。癌の根が深く、顔つきが悪い場合には、膀胱を全部取る手術(膀胱全摘除)が主として行われます。癌の部位と範囲が狭い場合は、副作用の少ない低用量の抗がん剤/放射線治療と膀胱部分切除(膀胱の一部のみを取る)を組み合わせた治療を行うこともあります。
膀胱全摘術を施行した場合、膀胱がなくなりますので、新たに尿の通り道や出口を作る手術が必要です。腸の一部を使っておなかに尿の出口を作る手術(回腸導管造設術)や、腸を使って膀胱の代わりの袋を作り尿道につなぐ手術(回腸新膀胱など)を行います。回腸導管では尿の出口に専用の袋をつける必要がありますが、回腸新膀胱では尿道から排尿できますのでお腹に袋をつける必要はありません。どちらの手術も患者さんの状態によってできない場合は、尿管を直接皮膚に固定する。尿管皮膚瘻術を施行します。
それぞれ一長一短があり、どれが適切かは病状によりますので担当医師と相談が必要です。さらに根が深かったり、転移がある場合は、膀胱全摘除もできず、抗癌剤のみの治療になる場合もあります。
尿路結石は腎盂内の腎杯という所に出来ます。その後尿流に乗り尿路(腎盂、尿管、膀胱)の色々な部位に移動します。尿管結石の場合は、わき腹や背中に激痛が出現する場合が多いようですが、血尿のみでまったく無症状で経過する方もいます。
結石の大きさが小さい場合は自然に尿管内を移動して排尿とともに排出されますが、大きい場合は尿管を塞いでしまい、腎臓で尿が作られるにつれ腎臓から結石の位置までの圧力が高まってゆき激痛が発生します。日本で1995年に発表された全国規模の調査によると、日本人の男性約11人に1人、女性26人に1人が一生に一度は尿路結石に罹患するとされています。男性の発症率は女性の発症率の約2倍で、好発年齢は30代で、青年期から壮年期にかけての人に発症する率が高く、子供では稀であるようです。
腎盂・尿管を上部尿路、膀胱・尿道を下部尿路と呼びます。 尿路の粘膜は、ほぼ全体が移行上皮という同一の上皮で覆われています。その腎盂や尿管に出来る癌を腎盂・尿管癌と言います。
腎臓の尿細管から発生する癌が腎癌であす。腎癌には、特徴的な症状はなく、そのため小さいうちに発見される腎癌は、検診や、ほかの病気のための精密検査でたまたま見つかるなど、偶然に発見されるものがほとんどです。この状態なら腎臓を手術で除去することにより、治療できます(最近は体に負担のかからない腹腔鏡による手術が主に行なわれているようです)。腫瘍が大きくなるにつれて血尿が出たり、腹部のしこりに気が付いたりする場合もあります。更に進行すると癌が全身へ転移して、食欲不振、体重減少、貧血、発熱といった全身症状があらわれます。この様な場合は手術の適応はなく、分子標的薬を含めた薬物療法が治療の中心になります。さらに、腎細胞癌が造血作用のある物質などを作るために、赤血球増多症、高血圧や高カルシウム血症が起こることもあります。
また、骨転移による骨折や、脳転移によるけいれん、肺転移による肺の腫瘤といった、ほかの臓器へ転移したものが先に発見され、精密検査の結果として腎癌が見つかることも少なくありません。