- 1.尿が出にくい・排尿に時間がかかる・尿の勢いがない
- 病名:前立腺肥大症、前立腺癌、神経因性膀胱、膀胱癌、薬剤性、尿道狭窄、膀胱結石、膀胱炎(慢性・急性)、間質性膀胱炎
前立腺肥大症の典型的な症状です。前立腺が大きくなり、尿の通り道である尿道が圧迫されるためこのような症状がおこるのです。前立腺癌が合併する可能性があるので、必ずPSA検査が必要です。また使用する薬(風邪薬や抗コリン剤など)で尿の出が悪くなることもあります。神経の病気や糖尿病などによりこのような症状が見られることもあります。外傷・炎症後に尿道が狭くなる尿道狭窄によって尿の出が悪くなることもあります。 - 2.頻尿(尿の回数が多い)・夜間頻尿・残尿感がある
- 病名:前立腺肥大症、前立腺癌、神経因性膀胱、膀胱癌、薬剤性、尿道狭窄、膀胱結石、膀胱炎(慢性・急性)、間質性膀胱炎
50歳以上の男性では前立腺肥大症が原因の場合が多いようです。トイレに急いで行かないと間に合わないといった切迫性尿失禁の症状を伴うこともあります。その他前立腺癌や膀胱癌でもこのような症状がおこる場合があります。女性の場合は過活動膀胱などによる場合が多いようです。 - 3.尿が全く出なくなり、下腹が苦しい・尿が途中で止まってしまう
- 病名:前立腺肥大症、尿道狭窄、尿道結石、前立腺癌、膀胱腫瘍、神経因性膀胱
前立腺肥大症で起こる場合が最も多いようです。早めに導尿して尿を除去しないと腎臓の機能まで低下する場合があるので、緊急の処置が必要です。 - 4.くしゃみ・咳をした時・走った時・重いものを持った時に尿漏れがある
- 病名:腹圧性尿失禁(骨盤底の筋肉が緩む状態)
加齢および妊娠などで、骨盤底筋群が弱くなり、腹圧により尿が漏れる状態です。骨盤底体操や手術が必要です。 - 5.トイレに行こうとした時に我慢できず尿が漏れる
- 病名:前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱炎、膀胱結石、尿管結石、過活動膀胱など
尿がしたくなると我慢できなくなり、場合によっては漏れてしまう切迫性尿失禁の状態です。 - 6.尿に血が混ざる(赤やピンクの尿が出る:ほかに何の症状もない)
- 病名:腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、膀胱炎、糸球体腎炎、特発性腎出血
目で見て尿が赤い場合を肉眼的血尿と言います。血尿以外全く症状がない場合上記尿路癌が疑われます。逆に排尿痛や残尿感や背部痛などがあれば膀胱炎や尿路結石が疑われます。いずれにしても早期に泌尿器科的精査が必要ですので、なるべく早く泌尿器科にかかって下さい。 - 7.尿が出る時や出た後で痛みがある
- 病名:膀胱炎、尿道炎、亀頭包皮炎
女性の場合は急性尿道炎の頻度が最も高く排尿の終わりころの痛みや残尿感や頻尿を伴う場合が多いです。男性では尿道炎(性病であるクラミジア尿道炎や淋菌性尿道炎)が疑われます。小児では亀頭と包皮が赤くなる亀頭包皮炎の可能性があります。 - 8.尿が濁っている
- 病名:膀胱炎、塩類尿、逆行性射精
- 9.左右どちらかの背中や下腹部の痛み(激痛または鈍痛)がある
- 病名:尿管結石、椎間板ヘルニア、膵炎
背中の痛みを呈する疾患は泌尿器科的疾患、内科的疾患、整形外科的疾患などがあります。泌尿器科疾患の場合は左右どちらかの尿管結石やそれに合併した腎盂腎炎(単独で起こることもある:38度以上の高熱を伴う)の場合が多く。痛みの性状は激痛で突然出現することが多いです。 - 10.尿道から膿が出る・下着に膿が付く(排尿時の痛みを伴う場合が多い)
- 病名:尿道炎(淋菌性尿道炎やクラミジア性尿道炎などの性感染症)
- 11.夜間の尿漏れ(夜尿)が継続する
- 病名:夜尿症(小児)
小児の夜間の尿漏れです。膀胱が拡張して満タンになった時、普通はその刺激が脳に伝わり覚醒するのですが、神経系の未発達により脳が覚醒しないため、尿漏れが起こってしまう状態です。夜尿症自体は神経の発達するまで治りませんが、下垂体後葉ホルモンや抗うつ剤や抗コリン剤を投与することにより、夜間尿量を減少させて夜尿を抑制し、イベント(お泊りの学校行事など)を何とか恥じをかかないで、乗り切ることが医療の目的です(年齢と共に夜尿症の確率は低下しますが、稀に大人になるまで、夜尿が継続する方が見えます)6歳を超えても症状が継続すれば泌尿器科を受診してください。 - 12.陰嚢が痛い
- 病名:精巣捻転、精巣上体炎、精巣炎
精巣捻転は精巣を養う血管を含んでいる精索が捻じれて血液が精巣に流れなくなる病気で、ほっておくと精巣が壊死(腐ってしまう)する可能性があるので、強い精巣痛があれば泌尿器科を緊急で受診してください。精巣上体炎は精巣の横にある精巣上体が尿路からの細菌の逆流で炎症を起こし腫脹する病気です(圧痛が強い)、抗生剤投与により直すことが出来ます。精巣炎は多くの場合、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に伴って起こります。特に治療法はありません。 - 13.陰嚢が大きくなった(痛みなし)
- 病名:陰嚢水腫、精巣癌、精索静脈瘤(軽度の痛みを伴うことが多い)、ソケイヘルニア
陰嚢水腫は陰嚢部の漿膜に液体がたまった状態です。針を刺して液体を除去したり、手術を施行して直します(小児の場合は経過観察で自然治癒する場合があります)。精巣癌は陰嚢内の腫瘤として触れます。痛みなどが全くない場合が多く、悪性腫瘍が大多数を占めまた他の部位に転移しやすいので、早期の治療が必要です。陰嚢の腫れ以外痛みなどの症状がないため診断が遅れがちになります。陰嚢の腫れがあればなるべく早く泌尿器科を受診してください。超音波検査で陰嚢水腫、精巣癌、精索静脈瘤(軽度の痛みを伴うことが多い)、ソケイヘルニアなどの鑑別はわりと容易につきます。 - 14.急に左右どちらかの精巣が痛くなった
- 病名:精巣捻転、精巣上体炎、精巣炎
- 15.精液に血が混ざる
- 原因不明のことが多い。精嚢炎、前立腺炎、前立腺癌などの場合もあります。
- 16.包茎がある
- 病名:包茎
包皮が亀頭を包んだ状態で、全く包皮が剥けない状態を真性包茎といいます。無理に包皮を剥こうとして、戻らなくなってしまった状態を嵌頓包茎と言い、手術を含めた緊急処置が必要になります。 - 17.赤ちゃんや幼児の包皮が赤く腫れて痛みがある
- 病名:包茎、亀頭包皮炎
- 18.尿に潜血があると言われた
- 特に異常ない場合が多いが、たまに泌尿器科腫瘍(腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌)、膀胱炎、尿路結石、糸球体腎炎、尿路感染症(膀胱炎、腎盂炎)、ナットクラッカー症候群などの場合があり、これらを見逃さないため泌尿器科的精査が必要です。
- 19.血液検査でPSAが高い(特に前立腺癌検診などで)と言われた
- 病名:前立腺癌
PSAが4ng/mlを超える場合は、前立腺癌の疑いがあるため、PSAの再検、肛門からの前立腺の触診、超音波などを行い、必要なら前立腺生検(前立腺に針を刺して組織を直接採取して、病理検査をする)を行います。 - 20.陰茎がボキと折れて変形した
- 病名:陰茎折症
陰茎折症であり、緊急手術が必要です。 - 21.股の間を打撲したら尿が出なくなった
- 病名:尿道損傷
尿道損傷であり、手術も含めた緊急の泌尿器科的処置が必要です。 - 22.小児で陰嚢内に精巣を触知しない
- 病名:停留精巣
小児期のなるべく早い時期に手術を施行することが必要です。